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PROJECT STORY

大学実験研究棟の設備設計

ー東北大学(青葉山1)実験研究棟(電子・応物系)ー

PROJECT STORY No.04

研究実験施設

  • 空気清浄、感染症対策
  • 安心・安全・BCP
  • 高信頼性施設

Data物件データ

建物名称東北大学電子・応物系実験研究棟

所在地宮城県仙台市青葉区

主要用途大学施設(実験研究施設)

延床面積5,718.91㎡

規模地上3階

構造鉄筋コンクリート造

工期2019年10月~2021年3月

建築主国立大学法人東北大学

建築設計(株)梓設計

設備設計(株)総合設備コンサルタント

建築施工飛鳥建設(株)

機械設備施工日新設備(株)

電気設備施工(株)四電工

 本プロジェクトは、東北大学青葉山地区の電子情報システム・応物系の低層実験棟群を改築により集約することで「プラズマ・ナノテク・超電導・スピントロニクス」の国際的研究拠点を形成し、異分野融合・将来的基幹産業育成のための革新的なグリーン・ライフ融合イノベーションを推進させる整備を目的とした実験研究棟である。
 低層実験棟として敷地内に分散されていた各種実験・研究室を地上3階建ての建物内にまとめ、2階建ての未来館は青葉山の緑と調和した外装で東日本大震災からの復興の象徴となる建物である。

実験研究施設に適合した空気調和・換気設備

 電気式ヒートポンプ空調機による個別空調方式を基本とし、用途によってマルチ・セパレート併用としている。室内機は天井カセット形を基本とし、ホール・講義室等の大規模空間は隠蔽ダクト形とし、天井デザインとの融合を図っている。また、ホール高天井の部分は、埋込型の気流循環設備を配置し、強制対流によって室内の温度ムラを解消させ、空調効率の向上を図った。室外機は屋上に配置し、高効率機器を採用して省エネを図るとともに、防雪対策を施している。
 空調対象室は全熱交換形換気扇による個別式第1種換気方式とし、空気排熱を回収するとともに、中間期にかけてのナイトパージを可能とした。
実験用局所換気としては、ドラフトチャンバー用の排気ダクトを中廊下PSと北側サービスバルコニーより屋上へ立ち上げ、屋上設置のファンにより排気可能としている。換気ダクトの材質は使用薬剤をヒアリングし、SUS製と塩ビ製を使い分けている。

屋上機器類

加圧給水ポンプ一体型受水槽

実験研究用の各種特殊設備

 受水槽は加圧給水ポンプ一体形とし、緊急遮断弁を設置して地震時に非常用水の確保を可能にしている。各階廊下のわかりやすい位置に緊急シャワーを配置している。
 排水は生活関連の汚水・雑排水系と実験系排水系の分流方式としており、実験排水は屋外にサンプリング桝を設置し、特定施設(洗浄施設)としての放流水質の管理を可能にしている。
 ヘリウムガスは工学部エリアの集中回収方式で、対象装置より気化されたヘリウムガスを貯蔵ガスバックに一旦回収し、既設ヘリウム回収ラインに送ガスしている。
 実験用冷却水設備として、空冷ウォーターチリングユニット、冷却水ポンプ、冷却塔、クッションタンクを外部の実験機器配置スペースに配置し、実験室に冷却水を供給している。

ヘリウムガスバック設備

実験用冷却水設備

実験研究施設に適合した電気設備

 実験研究施設としての機能上、フリーザーやインキュベーターなどの実験機器は長時間停電の許されない負荷のため、 BCP対策として約72時間連続運転可能な非常用発電機を設置した。
 災害等による停電時の瞬時停電対応として、情報ラック搭載機器のシャットダウン操作を行うため、約10分間連続運転可能な無停電電源設備を設置した。
 実験室内の実験機器用として、部屋ごとに設けた実験盤よりケーブルラックにて各コンセント等へ電源を供給している。実験機器の配置場所により、壁面またはケーブルラックにコンセントや手元開閉器盤を取り付け、実験卓上部などへは電源取出自由度の高いファクトラインを設置し、卓上での実験機器使用状況に合わせた対応が出来るようにした。

非常用発電機

キュービクル式無停電電源装置

クリーンルーム設備

 1階に洗浄度クラス1,000のクリーンルームを配置している。
 帯電防止パネルによる内装、床置型のダイレクトドライブ方式空冷パッケージエアコン、外気処理ユニット、HEPAフィルター内蔵天吊型ファンフィルターユニット、陽圧ダンパー、クリーンルーム用LED直付型照明器具を配置している。

Designer設計者

機械設備設計

仙台事務所 設計・監理部

安部 晃Akira Abe

 歴史のある大学の実験研究施設の設計に携われて光栄に思っております。
 特殊ガス、冷却水、クリーンルーム等の実験設備においては、ユーザーの大学の先生がたに十分なヒアリングを行い計画しました。シンプルな計画で、将来へのフレキシブル性に配慮した設備設計を心がけました。
 将来を担う学生さん達が、この研究棟で大いに勉強していただき、社会にはばたいていただくことを期待しております。

電気設備設計

仙台事務所 設計・監理部

太齋 和貴Kazuki Dazai

 プラズマ実験室やクリーンルーム、低温センターなどさまざまな分野の実験研究室が集約されており、それぞれの電源計画検討は非常に大変でした。
 特に1階に主要な実験室が集約される影響で電気室が1階に計画できず、配置や配線ルート構築の調整は非常に苦労しました。
 大学施設としては設備内容が盛り沢山で良い経験となりました。

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