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PROJECT STORY

リハビリテーションセンター改修工事

ー 吉備高原医療リハビリテーションセンター ー

PROJECT STORY No.05

医療・福祉施設

  • 空気清浄、感染症対策
  • 安心・安全・BCP
  • リノベーション/コンバージョン
  • 高信頼性施設

Data物件データ

建物名称吉備高原医療リハビリテーションセンター

所在地岡山県加賀郡吉備中央町

主要用途病院(医療リハビリセンター)

延床面積15,974㎡

規模地下1階 地上3階 塔屋3階

構造RC造(一部鉄骨造)

工期1期:2019年3月~2020年3月31日
2期:2019年9月~2021年2月26日

建築主独立行政法人 労働者健康安全機構

建築設計(株)丸川建築設計事務所

設備設計(株)総合設備コンサルタント

建築施工(株)中電工

機械設備施工(株)中電工

電気設備施工(株)中電工

 本施設は、リハビリテーション医療の専門病院として、入院から社会復帰、さらに社会生活の維持まで、個々の障害のレベルにふさわしい一貫したリハビリテーション医療を提供するセンターである。1987年に竣工し、竣工後30年以上経過しているため各設備機器の経年劣化が進んでおり、更新の時期を迎えていた。医療関係の施設であるため、本センターの機能を何ヶ月も止めて工事することはできず、施設利用を継続したまま機器の更新を行った。

中央熱源方式から個別空調方式への改修

 空調熱源方式は、
  (A案)蒸気ボイラー+蒸気吸収式冷凍機+水熱源ヒートポンプ方式(A重油主体システム)
  (B案)空冷ヒートポンプエアコン+空冷ヒートポンプモジュールチラー方式(電気主体システム)
  (C案)空冷ヒートポンプエアコン+外気処理用パッケージエアコン方式(電気主体システム)
の3案を比較検討した結果、経済性・環境性・保守管理性に優れた方式である、(C案)空冷ヒートポンプエアコン+外気処理用パッケージエアコン方式(電気主体システム)を採用した。
 外気負荷の処理及び外気の供給は空冷ヒートポンプパッケージ形外気処理空調機で計画し、各室の主空調機についても空気熱源ヒートポンプマルチパッケージ形空気調和機又は空冷ヒートポンプパッケージ形空気調和機で計画した。高度な温湿度管理が要求される手術室については、外気処理空調機に再熱用ヒーターを組み込み温湿度管理を行う計画とした。
 空調システムのゾーニングは、室内圧管理、系統分離を行うことで、院内感染、汚染拡散防止を図り、空調停止時に下階の汚染された空気がドラフト効果によって上階を汚染しないよう、各階部門別の空調方式を基本とした。
 室用途毎に適正な換気風量、陽陰圧を見直し、各換気機器の換気風量を決定した。室用途毎の適正換気風量は病院空調設備の設計・管理指針(HEAS-02-2013)により決定した。

空調・給湯熱源方式

施設利用の継続に配慮した給排水衛生設備改修

 給水方式は、イニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンスコストに優れた方式である、受水槽+加圧給水ポンプ方式を採用した。受水槽の更新は、既存二層式受水槽を一層毎に改修可能である、不断水パネルタンクリニューアル工法による更新計画とした。給水管の更新は、給水圧の均一化を図り、メイン配管はループ方式とした。また、受水槽容量は、BCPの観点より有効容量約3日分の給水量を確保できるよう計画した。

消火設備について

 設置義務がある消火設備は、スプリンクラー設備、屋外消火栓設備、ハロン消火設備となる。スプリンクラー設備の改修においては、既存配管を再利用し、改修範囲の縮小、工期の短縮化、コスト削減を図り、真空式スプリンクラー設備での更新とした。また、枝管の老朽化が懸念される為、管内を負圧に保つことで、配管劣化(ピンホール等)による誤放水の抑制を図った。

工事エリア毎の工程に配慮した電気設備改修

 老朽化した電気室キュービクルを更新するために、電気室横にある駐車場スペースを使用して仮設キュービクルの設置を計画した。電気室キュービクルの更新は2期工事での対応のため、1期工事で供給が必要な動力電源については先行して配電盤の設置を計画した。
 受電は、電力会社より三相3線6.6kVの1回線受電とし、地中引込みにて電気室まで電源を供給している。熱源の更新計画に合わせて動力電源幹線(電線)をケーブル工事で配線した。既存幹線についてはセンター機能を維持しながらの切替えとなるため、あらかじめ切替え用の中継盤及びケーブルラックを敷設し、配線切替え用のルートを確保した。
 電気室横にある、駐車場スペースに仮設受変電設備、発電機を設置し、仮設電源へ既存ケーブルの切替えを行った。工事期間中に仮設電源の必要な場所には仮設分電盤より電源を送り込んだ。

電気設備仮設計画図

Designer設計者

機械設備設計

大阪事務所 設計・監理部 第2設計・監理グループ

森下 真也Shinya Morishita

 本プロジェクトでは、更新時期を迎えた機器の更新を本センターの機能を維持したまま行う計画で実施しました。施設の運用状況が竣工当初と変わっている部分があり、更新にあたり現在の運用に合わせる必要がありました。特に熱源について、元々はボイラーを利用した中央熱源設備であり、そのまま更新としたほうが良いか空調機器を個別空調にして中央熱源設備をやめたほうがよいかイニシャルコスト、ランニングコストトータルで比較検討し、個別空調とすることを決定しました。

電気設備設計

大阪事務所 設計・監理部 第1設計・監理グループ

仲村 憲一Kenichi Nakamura

 今回は設備機器を更新するために既存を活かしたまま機器を設置し、仮設キュービクル等を設置するスペースがあったため、本センターの機能を維持し続けることが可能でした。今後このような機器の更新工事が発生した場合、基本設計段階でローリング計画にあわせた仮設機器、ケーブル等の配置配線計画が実現可能か否かを検証することが重要であると考えます。

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