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PROJECT STORY

裁判所の設備設計

ー広島地方・家庭裁判所福山支部 福山簡易裁判所ー

PROJECT STORY No.10

事務所・庁舎

  • 未利用エネルギー/再生可能エネルギー

Data物件データ

建物名称広島地方・家庭裁判所福山支部・福山簡易裁判所

所在地広島県福山市三吉町

主要用途裁判所

延床面積5,612.26㎡

規模地上5階

構造鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造

工期2020年12月~2022年10月

建築主最高裁判所

総括最高裁判所事務総局経理局営繕課

建築設計(株)あい設計

設備設計(株)総合設備コンサルタント

建築施工(株)安藤ハザマ

電気設備施工(株)弘電社

機械設備施工川崎設備工業(株)

昇降機施工日本オーチス・エレベータ(株)

 広島県福山市に、広島地方・家庭裁判所福山支部・福山簡易裁判所が2022年10月に竣工した。本施設は、旧庁舎の老朽化に伴い建て替えられたものであり、広島地方裁判所福山支部のほか、広島家庭裁判所福山支部、福山簡易裁判所および福山検察審査会が入居している。本施設は、福山市民ひいては国民に寄り添った司法の拠点として、その役割を担っている。裁判所の設備設計の特徴や施設特性を踏まえた環境負荷低減方法などに触れつつ、その設備概要を紹介する。

電気設備

 受電は、電力会社より三相3線6.6kVAの1回線受電とし、電気室に設置した受変電設備へ引き込んでいる。受電設備は、浸水対策のため屋上に設置した。また、保守性と安全性を考慮し、高圧受電盤、低圧配電盤ともにキュービクル方式とした。

 【受電設備概要】
  形 式:高圧受電盤、低圧配電盤/屋内キュービクル式
  変圧器:総容量500kVA 
  単相 3線:100kVA×2
  三相 3線:300kVA
  コンデンサ:12Kvar×3、L=6%

 屋上に太陽電池モジュール5kWを設置し、パワーコンディショナーは、電気室に設置した。
表示装置は、総合盤内に設置し、現在および本日の発電電力量を表示する。
 照明は、事務室は一体型LEDベースライトとした。全室にLED照明器具を採用し、事務室および法廷は照明制御を行い、省エネルギー化を図っている。

電気室 受変電設備

屋上 太陽光発電設備

機械設備

①空気調和・換気設備

 熱源方式は、複数の部屋を効率良くまとめて空調することができ、保守や更新も比較的容易な中央熱源方式を採用した。熱源機器は夏期の冷房用電力使用量を抑制し、施設の電力負荷の平準化に貢献できる、ガス吸収冷温水機を採用した。
 空調方式は、室内の空調温度を均一にしやすく、個別制御も可能で、保守や更新も比較的容易なファンコイル+空気調和機併用方式を採用した。
 空気調和機は、省スペースで設置が可能なコンパクト形空気調和機を設置した。コンパクト形空気調和機は、夏期と冬期の熱負荷変動を考慮し、建物北側用と南側用の2系統に分け、機械室に設置している。
 冷温水 2 次ポンプは、負荷変動に対し効率的に稼働させるため、2次側負荷流量によるインバータ制御とした。また、冷温水2次ポンプ2台は、自動交互並列運転制御とし、累積運転時間を均一化し、摩耗や劣化の進行を均等させ、長期運用が可能となるようにした。

ガス吸収冷温水機・ポンプ類

コンパクト形空気調和機

 コンパクト形空気調和機による各室への給気風量は、5回/hを基本とし、熱負荷を処理している。コンパクト形空気調和機で処理することができない熱負荷については、ファンコイルユニットにより処理を行う方式とした。各室のファンコイルユニットの設置箇所は、外壁からペリメータゾーン約5m以内の範囲とし、天井カセット形2方向吹き出しを基本とし、各室に統一感を持たせた。
 法廷・会議室系統は、ファンコイルユニットの運転音や天井点検口の設置が困難等の理由から、天井隠蔽形ファンコイルユニットを廊下天井内に設置している。

事務室

合議法廷

②給排水衛生設備

 各階の一般便所は、使いやすく、メンテナンス性に配慮した衛生器具を選定した。大便器は、タンクレストイレを採用した。小便器は、床面清掃がしやすい低リップタイプの自動洗浄小便器を採用した。水栓類は、節水と衛生面を考慮し、非接触タイプの自動水栓を採用した。
 給水設備について、本建物は、階数が地上5階であるが、給水圧力等を確認した上で、ローコストで維持管理がしやすく、停電時でも給水が可能な水道直結直圧方式を採用した。
 給湯設備について、屋外に潜熱回収型ガス給湯器を設置し、1階浴室に供給している。各階の給湯室については、主に裁判所職員が使用することから、比較的少ない給湯量を想定し、貯湯式電気温水器を流し台の下に設置している。排水設備について、建物内は、汚水・雑排水の合流方式とした。敷地内は、汚水・雑排水と雨水の分流方式とし、既設公設桝で合流させ、下水道本管に放流している。
 消火設備について、各階の廊下に易操作性1号消火栓を設置し、本施設全体を包含している。設置位置は、消防署の指導により、建物出入口または階段室出入口から5m以内とした。消火配管は、消火ポンプ室から天井内で東西に2系統に振り分け、上階に展開している。消火水槽については、建物の躯体ピットを利用している。
 ガス設備について、ガス吸収冷温水機およびガス給湯器用として都市ガスを低圧にて引き込み、供給を行っている。

Designer設計者

電気設備設計

設計・監理本部 第3設計・監理グループ

内舘 康太Kota Uchidate

 裁判所という特殊な建物の担当者に指名された際に、経験が無いため当初は不安が大きかったです。
 しかし施設管理者の方、実際に執務される方へのヒヤリング等を通して少しづつ裁判所特有の設備の全体像が見えてきました。
 今回裁判所の設備設計を経験でき、裁判所特有の電気設備がとても合理的で有用性のあるものだと知り、非常に勉強になった設計でした。

機械設備設計

設計・監理本部 第3設計・監理グループ

根田 瀬里加Serika Konda

 当社としては初めての裁判所の設計ということで、設計は手探りの状態から始まりました。まず、裁判所の設備設計の特徴を知り、その特徴にどのような環境負荷低減方法を盛り込めるのか試行錯誤しました。
 設備設計者として、大きな一歩となったプロジェクトとなりました。

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