PROJECT STORY
空港エプロン照明のLED化
PROJECT STORY No.08
航空施設
- 光環境
- 高信頼性施設
Data物件データ
建物名称エプロン照明灯
所在地宮崎県宮崎市
主要用途航空機駐機場
規模エプロン照明 44灯
建築主国土交通省大阪航空局
2010年、経済産業省による「新成長戦略」「エネルギー基本計画」が閣議決定され、LEDや有機ELなどの高効率次世代照明を2020年までにフロー(新たに出荷される照明器具)で100%、2030年までにストック(国内に設置される照明器具)で100%に置き換えることが目標とされた。
それに伴い、航空機の離陸又は着陸を支援する飛行場灯火については、2030年までにLED化を100%達成することを目標としている。飛行場灯火ではないが、航空機に対する旅客の乗降・手荷物の積み下ろし等に必要なエプロン照明灯も、メタルハライドランプ及び高圧ナトリウムランプ等からLED器具への移行が進んでいる。
エプロン照明の設計
1-1 設置条件
エプロンとは、航空機に対する旅客の乗降、荷物の積み降ろし、給油およびその他のサービスを行う地域のことをいい、このエリアに対する照明をエプロン照明灯(FLO)という。設置条件として、上記のサービスの実施やパイロットによるエプロン最終停止位置への航空機の誘導のため、十分な照度が必要である。また、パイロットへグレア(まぶしさ)を与えず、管制官の視認を妨げないように設置することも重要である。
1-2 設計条件
設置基準(飛行場灯火設置要領 [国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課 航空灯火・電気技術室])より、エプロン照明の設計に際しては、次のような点を考慮しなければならない。
1)スポット内は平均水平面照度20lx以上とし、均斉度は4:1(平均/最小)以上とする。
2)スポット外およびスポット間は1)項の平均水平面照度の50%以上とし、均斉度は4:1(平均/最小)とする。
3)GSE車両通行帯等(サービス機材のパークエリアおよび旅客通路も含む)は平均水平面照度10lx以上とする。
4)夜間駐機のスポット内の平均水平面照度は、保安上必要な照度(5lx以上)とする。
LED投光器と旧器具の単体性能の比較
LED投光器(メタルハライドランプ1kW相当品)と高効率HID投光器(メタルハライドランプ1kW,高圧ナトリウムランプ 660W、高圧ナトリウムランプ400W×2)との比較資料を下図に示す。
消費電力において、LEDは444Wと、HID投光器と比べ低消費となっている。メタルハライドランプと比較すると、約59%少なくなっている。また、寿命に関してはメタルハライドランプが9,000h、高圧ナトリウムランプが12,000hに対し、LEDが40,000hと倍以上長くなっている。LED投光器は省エネルギー性が高く、ランニングコストの削減に有効である。
また、停電時対策として瞬時点灯性能が要求されるため、瞬時再起動型高圧ナトリウムランプ(400W×2)が使用されていたが、同等の性能をLED投光器も有している。さらに演色性についても優れているため、総合的にLED投光器を使用することが望ましい。
Designer設計者
電気設備設計
設計・監理本部 航空施設グループ
鍬本 裕二Yuji Kuwamoto
空港エプロン照明灯のLED化設計では記述した内容以外にも、既設架台への取り付け可否、旅客搭乗橋による照射の遮断など検討事項が数多くあり、各空港に合った設計になるよう注意する必要があります。