1. HOME
  2. 実績紹介
  3. プロジェクトストーリー
  4. 大学施設のZEB化設備設計

PROJECT STORY

大学施設のZEB化設備設計

ー宇都宮大学農学部附属農場管理棟ー

PROJECT STORY No.09

大学施設

  • ZEB
  • 未利用エネルギー/再生可能エネルギー

Data物件データ

建物名称宇都宮大学農学部附属農場管理棟

所在地栃木県真岡市

主要用途大学施設(管理、研究棟)

延床面積1,345.56㎡

規模地上2階

構造木造

工期2022年4月~2023年3月

建築主国立大学法人宇都宮大学

建築設計(株)綜企画設計

設備設計(株)総合設備コンサルタント

建築施工(株)浜屋組

機械設備施工和田工業(株)

電気設備施工(有)菊田電気工事

 本プロジェクトは、国立大学法人宇都宮大学下籠谷キャンパス(附属農場)に2023年3月に竣工した管理棟の設備設計業務である。
 本物件は、『ZEB』(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング、BEI≦0.00)の認証取得を必須条件としたプロジェクトであったため、省エネルギー機器の採用は勿論、建築外皮性能等について設備設計としても可能な限り建築設計側と、基本設計の段階から調整を行いながら業務を進めた。

建築の省エネルギー施策

 本建物は木造建築である。建築材料の断熱性能を表す値に「熱伝導率λ」があり、λ の値が小さいほど熱が伝わりにくい。
 木材は断熱性能に優れており、木材50mm厚の断熱性能は、コンクリート造、約550mm厚の断熱性能と同等である。
 建物形状は東西軸を長手方向として配置し日射負荷の影響を抑えると共に、主な建築の省エネルギー施策として外壁の断熱材はグラスウール36K120mm、屋根の断熱材は硬質ウレタンフォーム100mm+グラスウール36K 60mmを採用している。窓および外部開き戸のガラスはLow-E複層ガラス(Low-E6+A12+TG5)を採用している。

設備の省エネルギー・創エネルギー施策

 空調方式は電気消費量の少ない高効率型の空冷ヒートポンプマルチエアコンを選定した。空調対象室の用途や運用時間により、空調系統を適切に分け、効率の良い運転条件を目指した。
 室外機は、冷媒管長による機器能力の低下を最小限にするために分散配置とした。
換気設備は全熱交換器を採用し、外気負荷の低減を図った。トイレ、シャワー等の排気に見合う空気の導入は、全熱交換器の排気を利用し、直接的な外気の導入を避け外気負荷の軽減を図った。建物全体として、排気量に対して給気量を多くし、建物内の正圧を保つことにより、隙間風の侵入を防ぐ計画としている。
 照明設備は全室LED照明を採用し、電気消費量の削減を図った。
 給湯設備はシャワー用として潜熱回収型ガス給湯器をシャワーブースごとに分散設置し、配管延長による放熱ロスを最小とした。
 昇降機設備はインバーター制御による可変電圧可変周波数制御方式を採用した。
 創エネ設備として、ZEBに必要な太陽光発電設備の発電容量は、省エネ計算より約60kWと算出されたため、南向き・傾斜角約3度の屋根面に定格出力60kWの太陽光発電設備を設置した。

Designer設計者

機械設備設計

設計・監理本部 第3設計・監理グループ

石川 昭一郎Shoichirou Ishikawa

 ZEBを達成するためには、まず各種省エネ施策でZEB Readyを確保することが絶対条件になります。
 ZEB Ready計算の基礎となる基準一次エネルギー消費量に対して設計一次エネルギー消費量を半減させるためには、建築の省エネルギー施策による外皮断熱性能向上と、空調機の省エネ性能のベストなコストバランスを探るところが肝心かなと感じております。

電気設備設計

設計・監理本部 第1設計・監理グループ

尼子 哲Satoru Amako

 電気設備におけるZEB達成条件として、照明はLED灯具の選定が大原則であり、適切な設置台数、人感・明るさセンサー制御等により、省エネルギー効果が最大限となるようにしなければなりません。
 創エネルギーは、太陽光発電設備が最もポピュラーな設備となっていますが、今後は太陽光以外に建物付属設備として取り入れやすい発電設備が開発されることが期待されます。

プロジェクトストーリー 一覧