PROJECT STORY
大学研究実験棟の設備設計
ー東京大学(柏Ⅱ)融合研究実験棟ー
PROJECT STORY No.12
研究実験施設
- 空気清浄、感染症対策

Data物件データ
建物名称東京大学(柏Ⅱ)融合研究実験棟
所在地千葉県柏市
主要用途大学施設(研究実験棟)
延床面積4,258㎡
規模地上4階
構造鉄筋コンクリート造
工期2022年11月~2024年3月
建築主国立大学法人 東京大学
建築設計(株)内藤建築事務所
設備設計(株)総合設備コンサルタント
建築施工(株)トーヨー冨士工
機械設備施工須賀工業(株)
電気設備施工工藤電業(株)
本プロジェクトは、国立大学法人東京大学柏Ⅱキャンパスに2024年3月に竣工した研究実験棟である。次世代型パンデミック総合対策に資する「様々な研究分野を融合した融合的感染症・ワクチン研究」、GxP(適正×基準、優良×規範)レベルの生物製剤製造を含めた感染症・ワクチン研究を企業と連携して推進し、持続可能な感染症・ワクチン研究体制を構築するための施設である。
電気設備
1階のBSL3実験室のうち、高い清浄度が求められた1室はクリーンルーム用照明器具(清浄度クラスISO7)やクリーンルーム対応の露出型スピーカーを採用した。
実験室・研究室の各室には実験盤を設置し、単相3線100/200Vと三相3線200V系の電源を供給している。容量設定は、稼働中の施設やヒアリングを元に行った。
電力の引込みは、柏Ⅱキャンパス内にある特高変電所の高圧電気室既設フィーダー盤より、6.6kV三相3線を1回線受電とした。
受変電設備は、省スペースを考慮して高圧受電盤、低圧配電盤ともに前面保守形とした。
学内LANは、柏Ⅱキャンパス内の総合研究棟の既設スプライスボックスより、24芯光ケーブルを引込んでいる。通信事業者からの引込みは別途工事のため、空配管を用意した。
インターホン設備は1階BSL3区域内の実験室とBSL3区域外の前室との通話用に相互式インターホンを設置した。
監視カメラ設備は各階EVホール、1階廊下に全方位型監視カメラを設置し、1階管理室に監視装置を設置した。
入退室管理設備は1階の外部に通ずる出入り口屋外側にカードリーダーを設置し、2階・3階実験室入口には将来カードリーダーが設置できるようにカードリーダー用ボックスと空配管を計画した。
1階管理室にP型受信機を設置し、消防法に基づいた火災報知設備を計画した。
電気室内に受変電設備の電力監視盤を設置し、特高変電所の既設電力計測装置で遠隔監視出来るようにした。
封じ込め実験室(BSL3)の機械設備
封じ込め実験室(BSL3)と、付随する諸室の空気調和設備は、実験室バイオセーフティ指針に準拠し、空気調和機による全外気方式とし、室内に再循環しない方式を採用した。BSL3ユニット用熱源機として、空冷HPモジュールチラーを1階屋外に設置した。熱源機は、冷房専用機、暖房専用機をそれぞれ設置し、年間を通して冷水、温水の供給が行えるシステムとした。
室内の陰圧制御は、扉の開閉、経年劣化による間仕切パネル目地からの空気漏洩を考慮し、排気系統は定風量装置(CAV)にて定風量とし、給気系統に室圧制御ダンパー(PCD)を設置し、室内設定圧力に追従するように室圧制御を行うシステムとした。
実験室からの排水は、使用箇所で回収後、高圧蒸気滅菌器で滅菌処理を行い、排水処理設備で処理する計画とした。処理方式はイニシャルコスト、ランニングコストの比較検討を行い、次亜塩素酸による連続式pH中和処理方式を採用した。


BSL3実験室用空気調和機
排水処理設備
Designer設計者

機械設備設計
設計・監理本部 第2設計・監理グループ
吉田 雅之Masayuki Yoshida
当社でも設計事例の少ない用途の建物であり、最適な設備方式の選定、竣工後の維持管理運用に配慮した設計を心掛けました。
大規模な封じ込め実験室(BSL3)の設計に携わることができ、設備設計者として大変貴重な経験ができました。

電気設備設計
設計・監理本部 第2設計・監理グループ
谷村 尚紀Naoki Tanimura
新型コロナウイルスのパンデミックにより人と物の移動が大幅に制限されたことはまだ記憶に新しいところです。
本施設において感染症の研究、ワクチン開発がより活発に行われ、社会に寄与できることを期待いたします。