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PROJECT STORY

大学施設のZEB化設備設計

ー東北大学青葉山ユニバースー

PROJECT STORY No.14

研究実験施設

  • ZEB
  • 空気清浄、感染症対策

Data物件データ

建物名称青葉山ユニバース

所在地宮城県仙台市青葉区

主要用途大学施設(研究実験施設)

延床面積4,061㎡

規模地上4階

構造鉄筋コンクリート造(基礎免震構造)

工期2024年3月竣工

建築主国立大学法人東北大学

建築設計(株)エーシーエー設計

設備設計(株)総合設備コンサルタント

建築施工三井住友建設(株)

機械設備施工(株)テクノ菱和

電気設備施工(株)四電工

 本施設は東北大学青葉山新キャンパスに3GeV高輝度放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」を中心に「東北大学サイエンスパーク構想」が計画されており、その第一弾として建築されたものである。
 産学連携拠点である青葉山ユニバースは、産学連携の共創の場としてレンタルラボ、クリーンルーム、コワーキングスペース、共創スペース、ラウンジを備えた研究実験施設である。
 本施設は産学連携の重要な研究実験施設であることから基礎免震構造としている。
 レンタルラボが建物の多くを占めているため、共用のEPS・PSとは別にレンタルラボ専用のEPS・PSをそれぞれ備えており、利用者に応じた電源等の増設にフレキシブルに対応することができる。
 環境に配慮した建物として基準一次エネルギー消費量から50%以上の削減を達成し、ZEB Readyを取得している。 

受変電設備

 受電方式は青葉山3キャンパス内サブ変電所より共同溝から免震ピットを介して1階電気室に三相3線6.6kV1回線受電している。
 レンタルラボが建物の半数を占めており、利用者の増加に応じて将来的に実験用電源が増加することを考慮し、薄型配電盤用の増設スペースを確保している。

電灯設備

 ZEB Readyの取得が設計条件とされていたことから、LED照明の全面的な採用、南側居室への昼光センサーによる最適照度を目指した調光制御の導入、廊下、トイレ、エントランス等への人感センサー制御(ON/OFF)の採用を行った。
 LED照明の適正器具の選定、基準照度による最適台数、調光・点滅制御により、BEI/L=0.24を達成した。
 建物の多くを占めている直天井のレンタルラボは、ケーブルラック下部に照明と昼光センサーを取付けている。

電気室

レンタルラボ

空気調和設備

 レンタルラボ等一般系統の空調機は、ZEB Ready取得のため高効率型高COPタイプのビル用マルチヒートポンプエアコンによる個別空調方式とした。
 サーバー室は高顕熱型の電算機室用エアコンを設置した。予備機を設置することでローテーション運転を行い信頼性を確保している。
 クリーンルーム(清浄度Class8程度)には床置形ダイレクトドライブ方式空冷パッケージエアコンを採用した。下部吸込、上部ダクト吹出しとし室内全体にクリーンな気流が行き渡ることに留意した。

換気設備

 空調対象室の換気は各室毎に全熱交換器を採用し、第1種換気を行い、外気負荷の低減を図った。また中間期にはナイトパージを可能とした。
 各階のラボには各々給排気用のガラリ及びチャンバーを配置し、将来的な局所換気の追加にも対応できる状態とし、フレキシブル性を確保した。
 3、4階のラボについては将来ドラフトチャンバーを2台設置することを想定し、排気ダクトをサービスバルコニーから屋上の送風機置場まで設置している。なお、サービスバルコニーの排気ダクト廻りは意匠を考慮し、ルーバーによる仕上げとした。

クリーンルーム

サービスバルコニー

給水設備

 供給水は市水(上水)と混合水(雑用水)の併用方式で、周辺建物も含め別棟のエネルギーセンター棟より共同溝内を通り供給されている。本工事では建物付近の共同溝内既設管より分岐し引き込みを行った。
 市水は直結給水方式、混合水は受水槽+加圧給水方式としトイレ洗浄水に使用している。混合水用の受水槽は緊急遮断弁を設け、地震等災害時の非常用水の確保を可能にしている。

混合水系統受水槽

 

ZEB Ready

 本施設はZEB Readyが必須条件のプロジェクトであったため、省エネルギー機器の採用、空調負荷計算に影響を及ぼす建築外皮性能等についても可能な限り建築設計と調整を行いながら設計を進めた。
 省エネルギー計算は標準入力法にて弊社省エネ計算センターにて行った。
 各設計一次エネルギー消費量は下記である。
空調BEI/AC:0.51、換気 BEI/V:0.40、照明 BEI/L:0.24、給湯BEI/HW:2.03、昇降機BEI/EV:1.00
 基準一次エネルギー消費量3,827.2[GJ/年]に対して設計一次エネルギー消費量1,748.2[GJ/年]となり、BEI=0.46で54%削減となり、ZEB Readyを達成しBELS認証を取得した。

Designer設計者

機械設備設計

仙台事務所 設計・監理部

岩佐 祐司Yuji Iwasa

 青葉山ユニバースは産学連携の重要な研究実験施設であり、同時にZEB Readyが必須条件のプロジェクトでもありました。設備設計者として得るところの多い業務であり大変嬉しく思います。

電気設備設計

仙台事務所 設計・監理部

菅原 将人Masato Sugawara

 世間的にも注目度が高い産学連携の共創の場である東北大学「サイエンスパーク」整備プロジェクトの先駆けとなる本施設に、設備設計者として参画できたことに大きな喜びを感じております。

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